第1日目:研修会

2024年3月2日(土)13:00~17:00

  • 遠方からの方のために午後1時から5時までの4時間の研修となります。
  • アドラー心理学の代表的な4つの技法を学ぶ機会を用意しました。初めての方も、改めて学びを深める方もどなたでも参加できます。
  • 4つの技法とは「勇気づけ」「課題の分離」「早期回想」「不適切な行動の目的」です。
  • 更に、初めての方のための「アドラー心理学入門」も設け、5つの研修が同時進行でおこなわれます。
  • それぞれの研修は先着順での締切なので、事前申込をお勧めします。
  • 当日も定員に空きがあれば参加できます。しかも、参加費は当日参加も事前申込と同額です。

 

教室|(2F フェニックスホール)

「アドラー心理学入門」

講師:浅井健史(明治大学)

研修会このワークショップでは、アドラー心理学の実践の基礎となる、中核的な思想、理論、概念を理解することを目的とします。
もっとも、それらの意味を1つ1つ解説するだけでは、学習者の頭の中は「木を見て森を見ない」ようなバラバラの知識の集まりになってしまいます。
私自身もそうでしたが、アドラー心理学の知識を一通り学んでも、それらの相互関係がよく見えないため、実践適用に難しさを感じる人も少なくないのではないでしょうか。
これに対して、アドラー心理学という1つのシステムにおける各々の思想・理論・概念の関係性も理解できると、それらは臨床現場や日常生活での実践に活用できる知識となります。
今回はそうした問題意識から、浅井が考案したモデル図(実践思想のtriadモデル、内的ダイナミクス・モデル、共同体感覚の包括的構造モデルなど)を用いて、思想・理論・概念の相互関係を視野に入れた、「木と森を同時に見る」ような、アドラー心理学の全体論的理解を目指します。
グループワークやディスカッションも取り入れ、参加者の皆様とともに、双方向的な学びの時間にしたいと考えています。
独自のアドラー心理学への視点も提示しますので、初学者だけでなく、経験者の方にもご参加いただければ嬉しく思います。

教室|(4F 1401)

「勇気づけ」

講師:熊野英一(株式会社子育て支援)

アルフレッド・アドラーは「もし、私が一つだけ子どもに贈り物をすることができるならば、私は勇気を選ぶ」と言っています。

また、アドラーの高弟、ルドルフ・ドライカースは「植物が水を必要としているとの同じように、子どもは勇気づけを必要としている」と言っています。

「困難を克服する活力を与えること」と定義される「勇気づけ」。

子どもに限らず、年齢的には充分に成熟した大人になっている我々も、勇気づけによって、失敗を恐れず一歩を踏み出すことができたり、逆に、勇気の欠如により、自分の課題から目をそらして、非建設的な対処を選択してしまったりすることは、日常的に経験しているでしょう。

「勇気づけ」はアドラー心理学の根幹を成す「技法」のひとつですが、これを表層的に学び、「小手先のコミュニケーションのテクニック」と捉えて対人関係に適用してしまうと、むしろ相手の「勇気をくじく」ことになってしまう場合もあるのが、やっかいなところです。

この講座では、アドラー心理学をこれから学ぼうとしている方から、長年に渡りそれを学び、実践している方までを対象に、理論と実践の両方に軸足をおいたプログラムを展開します。

この講座を受け終わる頃には、
「勇気づけとは、単なる技法ではなく、土台となる態度を整えることが最も大切である」
「勇気づけとは、何か素敵な言葉を相手に投げかけることだけではない」
「自分自身が勇気に満ち溢れていなければ、他者を勇気づけることは難しい」
といった本質的な学びを得られることでしょう。

教室|(4F 1402)

「課題の分離」

講師:八巻秀(駒澤大学)・久保田将大(東京都石神井学園)

数年前の「嫌われる勇気」ブームもあり、「アドラー心理学と言えば『課題の分離』」と認識されている非アドレリアンの方も多いように思われます。それほど「課題の分離」の発想は日本社会においてセンセーショナルなものでありました。その「分離」という語の衝撃が大きく、「課題の分離」の中に含まれる「共同の課題」へのプロセスが伝わり難くもあります。プロセスのイメージを共有すべく、近年のアドラー心理学界隈の中でも「課題の分離」から「課題の分担」という語へ変化していく流れもあります。一方でアドレリアン界隈に置いては「課題の分離・分担」の思想は解っていたとしても「自分の実践している『課題の分離・分担』は、はたしてこれでいいのだろうか?」と考えてしまう方もいらっしゃるのではありませんか? このワークショップでは、「課題の分離・分担」について理解を深め、日々の実践に活かせる自信を持てるようになることを講師たちと参加者の「共同の課題」と設定し、講師たちが「分担」して考えたワークを通して体験的に学べるものになればと考えています。この機会に「課題の分離・分担」について一緒に考えてみませんか?この課題にご協力していただける方のご参加をお待ちしております。

教室|(4F 1403)

「早期回想」

講師:深沢孝之(山梨県立大学/心理臨床オフィス・ルーエ)

早期回想とその解釈法は、アドラー心理学的アセスメントの肝として知られています。 しかし、どこか名人芸的なイメージがあり、なかなか自信が持てない人も多いようです。 本研修では、心理アセスメントにおける早期回想の考え方と解釈の基本的なやり方について解説します。 実際に早期回想をクライエントから聞き出し、解釈するプロセスをできるだけ多く実習したいと思います。 アドラー心理学初学者向けですが、経験者は自らの知見をシェアしていただければと思います。

教室|(4F 1404)

「不適切な行動の目的」

講師:佐藤丈(北杜市立小淵沢小学校)

個人心理学では「不適切な行動には注目せず、適切な行動に注目する」ことが、適切な行動に子どもを導く良い方法だと言われます。また「不適切な行動による、本人への不利益を体験させ、そこから学ばせる。」という「自然の結末」という考え方も広く知られているところです。このシンプルな方法論は、効果的である反面、不適切な行動を放置する「放任」になりかねないという、危険性もはらんでいます。「不適切な行動に注目しないようにしていたら、その行動がますますエスカレートして、大変なことになった。」という経験をもつ、保護者や、教師は少なくないはずです。それではどうしたらよいでしょう。この問いを入り口に、幅広く、個人心理学について語り合い、学び合いたいと思っております。ぜひお越しください。