学術大会

2022年3月6日(日)オンラインにて開催

大会長講演|9:30~10:00

(ルームJ)

「共同体感覚の育成はコミュニティの支援力を育てる」

大会長 箕口 雅博

 私たちは今、コロナ禍という世界的な危機をはじめ、貧困、自殺者の増加、いじめ・虐待・ハラスメント、少子・高齢化、犯罪・災害・事故の被害(災)者とその家族のこころのケア、障害者・高齢者の地域ぐるみの支援、異文化に生きる人びととの共生といった分断と格差社会の抱える課題のもとで生きています。そして、私たちの生活共同体、すなわちコミュニティに生活する人びとの多様な支援ニーズをいかに把握し、どのように支援するかが問われています。
 社会(コミュニティ)とのかかわりのなかで生活している人間の心理社会的問題を予防・解決するためには、人の環境への適応を支援するだけでなく、その個人をとりまく環境を人に適合するように改善していく働きかけが重要となります。また、コミュニテイには力があり、その力がさらに引き出されるような黒子的役割を発揮することも必要になります。すなわち、弱さや問題点に焦点を当てる病理モデルから人やコミュニテイののもつ強さや健康性に注目していくストレングス・モデルヘ、症状や障害を治すという治療モデルから開発・発達促進モデルヘ、専門的な指導モデルからニーズに対応するサービス・モデルヘ、専門家中心モデルからコミュニテイ中心モデルヘという発想の転換が求められていると言えるでしょう。
 アルフレッド・アドラーは、軍医として参加した第1次世界大戦から帰還した後、「共同体感覚の育成」を掲げ、オーストリア・ウイーンで児童相談所や教育研究所を設立し、親や教師が子どもを支援する力を育てるための心理教育的なコンサルテーション・ガイダンス、オープン・カウンセリング、講演活動などに力を注ぎました。専門家による個別支援だけでなく、コミュニティの中で人びとが力を合わせ、支え合うことの重要性を深く認識していたからです。こうした発想は今日まで引き継がれ、アドラー心理学はさまざまな方法で、コミュニティが持つ支援力を育てる実践に取り組んできました。
 そこで、当日は、アドラー心理学の中心的な実践思想としての「共同体感覚の育成」の意義と課題を明らかにし、現代社会の多様な人びとの支援ニーズに応え、ウェルビーイングを促進するコミュニティの支援力を育てる実践に、アドラー心理学がどのように貢献しうるかについて、皆さんとともに考えてみたいと思います。

一般演題発表|10:10~12:20

ルーム

J

S

I

座長(前)

 鈴木 義也

箕口 雅博 深沢 孝之
(後)

 久保田将大

浅井 健史

佐藤 丈

 

オープンダイアローグ

理論

臨床実践

10:10-10:40

 「共同体感覚の育成」の現代的手法としてのオープンダイアローグ

八巻 秀

人はどう勇気づけられるのか?-勇気づけメカニズムの図式化-

浅井 健史

アドラー心理学的夢の解釈の試み -概要 ―

石山 育朗・番澤 清美

10:40-11:10

臨床心理士等の専門職が個人心理学を学ぶための環境を考える

長田 岳大

11:10-11:20

 

休憩

 

11:20-11:50

ダイアローグに活かすアドラー心理学

日山 敦生

共同体感覚をいかに捉えるか?-集団変数として扱う効用についての理論的検討-

吉田 光成・下斗米 淳

放課後等デイサービスにおけるアドラー心理学の実践-話し合い活動を通じて-

藤登 健一

11:50-12:20

ドロップアウトからの再開(再会)に至った一事例-解決から対話の継続へ-

前野 隼兵

コロナ禍における地域コミュニティ内の取り組みを検討するための「維持」・「変容」概念の提案-アドラー理論との関連性に着目して-

加藤 慧ほか

 

総会|12 : 30~13:30

(ルームJ)

会員対象

招待講演|13:40~14:50

(ルームJ)

テーマ:「100点を目指すのではなく、自分を信じて100%努力する学校 ~アドラー心理学を用いた新たな学校経営と教育実践の提案」

 

講 師:黒澤 誠(川口市立新郷南小学校長)

コメント:より自分らしく生きるためには、勇気をもって自己決定することが認められる環境を整えることが重要である。それにより、成功体験により自己肯定感を高め、失敗体験を経験に置き換えて成長することができるのであろう。学校は児童だけでなく、大人も成長できる場でありたい。児童も教職員も、勇気をもった生き方をし、自分に自信をもって歩んでいける学校を目指し、アドラー心理学を学校経営にとりいれる挑戦を重ねてきた。従来の学校風土を捨てた、新たな学校の在り方を皆様と考えてまいりたい。


プロフィール:黒澤誠先生は、小学校教員として17年務めた後、川口市、埼玉県教育委員会に出向し、2016年に川口市立幸町小学校の校長として、主としてアドラー心理学の臨床思想を取り入れ、新しい学校経営(管理しない学校管理)を実践してこられた。2020年に川口市立新郷南小学校に異動し、教職員とともに、アドラー心理学を用いた教育実践研究にも取り組んでおられる。

 

司  会:箕口 雅博(立教大学)

シンポジウム|15:00~17:00

(ルームJ)

テーマ:「アドラー心理学を活用したコミュニティの支援力を育てる実践」

シンポジスト:

  1. 「アドラー心理学にもとづくコミュニティカウンセラー(支援助言士)の養成と支援力の育成」鶴田 恵美子(日本支援助言士協会)
  2. 「死別の悲嘆を支えるグループにおけるアドラー心理学の活用と課題」井手 敏郎(一般社団法人日本グリーフ専門士協会)
  3. 「隊員間の相互援助力の向上を目指した臨床活動~組織の心理職の立場から~」坂井 亮一(陸上自衛隊)

指定討論:深沢 孝之(心理臨床オフィス・ルーエ)

 

司  会:浅井 健史(明治大学)